カテゴリ:学校だより
令和8年度5月号
「探究する力」の大切さ
副校長 荻野 仁
「あなたは自分で自分の頭がいいと思いますか。」
冒頭からいったい何だ、と思われた方が多いかもしれませんが、これは以前、私が見たテレビ番組で出てきた言葉です。海外の某有名大学の面接試験で出された質問でした。番組では、出演者たちが自分なりに考える「頭のよさ」を定義付けて模擬面接に挑んでいましたが、複数の、若干異なる定義を聞くと、実は「頭のよさ」というのはとても曖昧な言葉であることに気付かされます。
何となくのイメージでは、「テストの点が高い」「偏差値が高い」と「頭がいい」と思ってしまいがちですが、多くのテストで確認されるのは「知識(記憶)の豊富さ」です。それも頭のよさの一要素であることは間違いないと思いますが、それだけではいわゆる「頭がよい」とはならないような気がします。
前述の番組の出演者の一人は「目的の達成に向けてどれだけ頭を使うことができるか、が頭のよさと捉えている。」といった内容のことを発言していました。私の解釈にはなりますが、つまり目的の達成に一歩でも二歩でも近付けるために、計画を練ったり工夫をしたり、振り返って改善策を講じたりすることが、頭のよさなのかな、と思いました。
文部科学省や教育委員会、学校などが公的に「頭のよさ」の定義を示すことはありませんが、近年の日本の教育において大事にしていることは、知識や技能を獲得するにとどめるのではなく、それらをどう活用するかを思考し、判断し、表現する力です。「正解」にたどりつくための方法を知る(覚える)のではなく、そもそも「正解」という確実なものがないようなものごとに対して「探究」していくことで、思考力、判断力、表現力等を高めようとしています。自分で問いを立て、その問いに対する解を見付けていくプロセスである「探究」活動は、前述の「頭のよさ」の定義に近いものがあると思いました。
一昔前までは、テストで高い点を取り、有名な学校に入り、大手の勤め先に就職することが「成功」のモデルとして一般的に認知されていたと思います。しかし政治や経済、科学技術等の変化、それに伴う人々の価値観の多様化などにより、「一般的な成功」ではなく「自分(個人)の成功」とは何だろう、そのために何ができるだろう、と探究していく時代になりました。
南浦小学校ではその基礎となる力として、自分は何が好きなのか、何がしたいのかを考え、追究していく力や、仮にうまくいかないことがあってもくじけずに探究し続けようとする力を大事にして、教育活動を進めています。
この「頭のよさ」や「思考力」といったことには、定められた一般的な定義のないものだと思います。ご家庭でも、ふとしたときにこのような「正解」のないことについて語り合い、親子で「探究」してみてはいかがでしょうか。
公開日:2026年04月30日 18:00:00