カテゴリ:学校だより
令和7年度 6月号

カテゴリ:学校だより 令和7年度 6月号


望ましい子の育ちの実現をめざして ~コーチングに学ぶ子供との関わり方~
校長 小 坂 和 弘
1学期も後半となりました。日常の授業や遠足をとおして、教員の指導の下、子供たちが落ち着いて学習に取り組み、大変よく頑張っている姿を拝見し、たいへん嬉しく思います。一方で、子供が自ら判断し、考え、行動できるようにしていくことができるように指導を工夫することでさらに子供たちの健やかな成長を促して行きたいと考えます。
さて、今回はどうすれば、子供を幸せにすることができるか?子育てを通してどのように導いていくか?など子供との関わり方について少し触れたいと思います。
アルフレッド・アドラーという心理学者は、人が幸福になるには三つの要素があるといいます。一つ目は「自己受容」、二つ目は「他者信頼」、三つ目は「社会貢献感」です。この三つをもっていることが、人が幸せになる、幸せを感じる要素であると言っています。この三つを子供にもたせるのに、重要な役割を果たすのがコーチとしての保護者・教師等の大人の存在です。学校で言えば、保護者・教師等が役割を明確にして、チームで子育てに当たり、ともに育てていくことが大切になってきます。
よいコーチの条件には、「人の可能性を信じられること」、「公平であること」、「望ましいコミュニケータ一であること」、「肯定的であること」、「ポジティブであること」等々があるそうです。コーチは、これらすべてにおいて完璧である必要はありませんが、それぞれの専門性を生かし、チームワーク良く、子供に関わっていく必要があります。ちなみに、次に挙げるのは、コーチとして望ましくない8つのタイプ*だそうで、コーチングそのものが機能しなくなる例となるそうです。
1. 軍隊指揮官タイプ(立場を基本に指示命令の支配者タイプ。パートナーシップが築けない傾向がある。)
2. モラリストタイプ(自分の基準にこだわる道徳家タイプ。相手の間違いを指摘する傾向がある。)
3. 博識家タイプ(理屈っぽいタイプ。他人は自分より劣っている人間とみる傾向がある。)
4. 裁判官タイプ(道徳家タイプに近い。自分は常に正しいとする傾向がある。)
5. 批評家タイプ(皮肉・冷やかしタイプ。結果として相手のプライドを傷つけてしまう傾向がある。)
6. 心理学者タイプ(思い込みタイプ。自分の解釈を相手に押し付ける傾向がある。)
7. 慰め屋タイプ(慰めたことで、事足りたと思うタイプ。気持ちを楽にしてやればOKと考える傾向がある。)
8. 大げさタイプ(全て大げさに受け取るタイプ。冷静な現状分析が苦手で、混乱する傾向がある。)
子供の「自分を変える」、「なりたい自分になる」、そのサポートを効果的、かつ効率的にするのが、プ口のコーチです。悩みの解決、自己実現に大変有効な手法が、「チーム・コーチング」となるわけです。
コーチングとは、その人の自己認識を深め、自己実現を図ることです。簡単に言うと、「相手の成功を願って、その人が行きたいところへ連れて行くこと。」です。それを、チームで協働しながらやっていくのが、「チーム・コーチング」です。その人が行きたいところに自分で行けるように支援することは、コーチ自身の喜びに通じます。その喜びも分かち合いながら、保護者・教師等による「チーム・コーチング」によって、望ましい子の育ちを実現して行けたらと願ってやみません。[(注)*ドン・ディンクメイヤー博士/ゲーリー・D・マッケイ博士によるSystematic Training Effective Parenting. ]

公開日:2025年06月02日 07:00:00